書評
—勝俣範之,東 光久(編)—ジェネラリストのためのがん診療ポケットブック
渡辺 亨
1
1浜松オンコロジーセンター
pp.1063
発行日 2022年9月20日
Published Date 2022/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213825
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二人に一人が罹患するほど,がんは「当たり前の」疾患であり,肺がん,胃がん,大腸がん,乳がん,肝臓がんは,罹患率,死亡率も高く「五大がん」と呼ばれています.他にも前立腺がん,子宮頸がん検診が公費負担されており,卵巣がん,膵臓がん,膀胱がん,食道がんなども,医療者から見て何ら特別な病気ではありません.
がん治療として,最初に発展したのは外科手術,次に放射線治療で,これらは局所治療と分類されます.一方,現在は全身治療として,抗がん剤などの薬物療法が治療の主体を担っており,がん診療を専門としている病院,診療所も全国に多数整備されています.昭和の時代,がん薬物療法を受ける患者は,副作用に苦しみながら数週間入院するのが当たり前でした.しかし,好中球増加因子(G-CSF),制吐剤,抗生剤など,各種の有効な副作用対策薬の開発とともに,モノクローナル抗体薬,ホルモン療法薬,免疫チェックポイント阻害薬など,新しい作用機序を持ち,優れた効果が得られる治療薬が導入され,「外来化学療法室」が専門病院に整備され,今やがんの薬物療法は通院で受ける時代,がんと共に生活を送り,仕事を続ける人が増えています.通院でがん薬物療法を受けている患者は,治療の間に生じる副作用の苦痛,病院を離れている不安などから,頻繁に病院受診を希望しますが,予約が取りにくい,受診しても待ち時間がすごく長い,担当医は手術中で対応できない,偉い先生は学会出張で不在,など必ずしも満足できるとは言えません.一方で,広範囲の診療能力を有する「ジェネラリスト」がかかりつけ医として21世紀の医療を支えています.
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