Japanese
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特集 Brugada症候群
Brugada症候群の疫学
Epidemiology of the Brugada Syndrome
新 博次
1
Hirotsugu Atarashi
1
1日本医科大学附属多摩永山病院内科
1Department of Internal Medicine Nippon Medical School Tama Nagayama Hospital
pp.415-420
発行日 2001年5月15日
Published Date 2001/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902280
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はじめに
1992年Brugadaら1)により,安静時の12誘導心電図で右脚ブロックパターンを呈し,複数の右側胸部誘導(V1〜V3)で心筋梗塞を思わせるST上昇を示し(図1),心室細動発作を来した8症例が報告された.この心電図学的特徴を有する特発性心室細動は以前に報告された症例2)にも認められていた所見であるが,Brugadaらはこの心電図学的特徴を有する症例をまとめ,心電図学的所見と心室細動を関連づけた.
この報告と前後し,わが国でも同様の症例報告がなされている.宮沼ら3)は,非発作時の洞調律時に不完全右脚ブロックでV1〜3でST上昇を示し,夜間に心室細動を繰り返した47歳男性と39歳男性の2例を報告した.わが国では,これが初めての症例報告であるが,その後,Sumiyoshiら4)も同様な心電図学的特徴を有する42歳男性例を報告している.これらはいずれも臨床的に明らかな基礎心疾患を診断し得ないことより特発性心室細動として報告されている.
その後,この特異な心電図所見を呈し心室細動を発症すると考えられる患者群は,その報告者の名を付しBrugada症候群と呼ばれるに至っている.Brugada症候群では,いつもその特徴的な心電図所見を呈するわけではなく,時にはその特徴的心電図所見が正常化することもあり得ることが示され,現時点ではいわゆる広義の特発性心室細動に含まれる疾患群と考えるのが妥当と思われる.
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