特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
9 その他の疾患
尿道疾患
111 尿道カルンクル
長岡 明
1
1山形大学医学部腎泌尿器外科学講座
pp.309-310
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103180
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1 概念・病因
尿道カルンクルは女性の外尿道口部にみられる良性のポリープで,閉経期以降の女性に認められることが多い。自覚症状としては無症候性のことが多いが,排尿後ティッシュに血液が付着したり,下着に血液が付着しているのに気づくことが多い。また,しみるような疼痛や頻尿を伴うことがある。カルンクルが大きい場合は尿線の散乱を認めるが,排尿困難を呈することもある。
肉眼的には有茎性および無茎性の形態をとり,好発部位は尿道後壁6時方向であるが,外尿道口部の尿道前壁や他の尿道内に認められることもある。大きさは数mm~2cm前後であり,肉眼的には鮮紅~暗赤色の,もろく軟らかい結節上ポリープの外観を呈することが多い。組織学的には多様な上皮下の急性および慢性炎症,浮腫,血管増生,線維化と上皮の過形成が認められる1~4)。病理組織学的分類としては,①乳頭状型(papillomatous type),②血管腫型(angiomatous type),③肉芽腫型(granulomatous type)の3型が報告されている5)が,広く用いられている分類はなく,治療法や予後に違いはみられない。
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