今月の臨床 女性の泌尿器疾患—最新情報
尿路感染症
1.複雑性膀胱炎
荒川 創一
1
,
岡田 弘
1
,
守殿 貞夫
1
1神戸大学医学部泌尿器科
pp.1208-1209
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904158
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尿路感染症は,一般にその発症形態あるいは経過から急性と慢性とに分けられる.急性感染症は,その典型である急性単純性膀胱炎や急性単純性腎盂腎炎の画一的病態を考えれば,その実像が理解できる.一方,尿路に器質的あるいは機能的基礎疾患をもつ複雑性尿路感染症は,慢性に経過するものが多いが,中には結石の尿管嵌頓に伴う発熱性腎盂腎炎や小児の膀胱尿管逆流症に伴う腎盂腎炎など,複雑性であっても,急性発症し,エンピリック療法の対象となるものがある.膀胱炎でも,排尿痛や頻尿など,単純性のそれに類似した明確な感染症状を自覚することも少なくない.これらは,長期尿路カテーテル留置状況における膿尿,細菌尿の持続状態に代表される無症状の慢性経過例とは一線を画して対応する必要がある.本稿では,基礎疾患を背景とする複雑性膀胱炎の診断と治療について,概説したい.
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