書評
「ここからはじめる研究入門―医療をこころざすあなたへ」―Stuart Porter 著/武田裕子 訳
前野 哲博
1
1筑波大学大学院・地域医療教育学
pp.206
発行日 2012年3月20日
Published Date 2012/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102632
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研究は研究者がやるもので,臨床医がやるものではない―学生時代・研修医時代,私はそう思っていた。大学の先生からは,「臨床医だからこそ研究に取り組むべきである」とよく言われていたが,当時はどうしてもそう思えなかった。
そんな私も,後期研修が終わるころ,次第に研究に少し興味を持つようになり,軽い気持ちで研究に取りかかった。実際に取り組んでみると,その奥の深さに驚き,研究とはこんなに大変なものかと愕然とした。ようやく1つの論文を仕上げてみて,やっと臨床医が研究に取り組む意義を実感できたが,もし,こんなに苦労することを最初から知っていたら,研究をやってみようとは思わなかったかもしれない。思えば,研究のプロダクトである論文はいくらでも読む機会があるが,そのプロセスについて学ぶ機会は少ない。研究の進め方について書かれた本もあるが,研究をライフワークにしている研究者が,同じような道を選ぼうとしている人に向けて書かれたものが多いのではないだろうか。
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