書評
「ここからはじめる研究入門 医療をこころざすあなたへ」―Stuart Porter 著/武田裕子 訳
北村 聖
1
1東京大学医学教育国際協力研究センター
pp.57
発行日 2012年1月20日
Published Date 2012/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102592
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2004年の臨床研修必修化により,ほとんどの医学生が臨床研修から専門研修へ進み,基礎医学の研究者になる人が減ったとされる。その一方で,学部教育のガイドラインである「医学教育モデル・コア・カリキュラム(2010年度改訂版)」において,医学教育の大きな柱の1つに『基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養』がうたわれている。すなわち,「進展著しい生命科学や医療技術の成果を生涯を通じて学び,常に自らの診断・治療技術などを検証し磨き続けるとともに(中略)背景となる基礎的課題を解明するなどの研究マインドの涵養」が教育目標の1つとされている。
医師にとって基礎医学の研究のみならず,臨床の実践者になるにしても常に向上心を持って学び続けることが重要で,その中には常に研究課題(リサーチクエスチョン)を発見し持ち続けることや,それを解決する能力を身に付けることなどが含まれる。しかし,実際の医学教育の現場では,なかなかこのような研究心の涵養を教育することは難しいのが現状である。多くの大学では,一定期間,実際の研究室に配属されて研究室の課題の一部を担ってみることが行われているが,自ら研究課題をみつけるといったことはほとんど教育されない。また,研究方法についても系統だった教育は少ない。
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