書評
「レジデントのための血液透析患者マネジメント」―門川俊明 著
深川 雅史
1
1東海大学・腎・内分泌代謝内科学
pp.1049
発行日 2011年12月20日
Published Date 2011/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102571
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現在わが国で透析医療を受けている患者は約30万人に達し,新規に導入される患者の高齢化が進んでいる。また,糖尿病を原疾患とする率が高くなってきており,これらのことはほとんどの患者が多臓器の障害を持っていることを意味する。さらに,一昔前には考えられなかったような大手術を透析患者が受ける機会も増えてきており,腎臓内科や透析療法を専門としない医師が主治医になることも多い。彼らは,それぞれの領域の病気の専門家ではあるが,透析をしている患者の特性を理解して,適切に対応しているだろうか? 実際には,透析室に自らおもむいて,透析担当医と相談することも少ないのかもしれない。
一方,透析は技術的な側面が大きい医療であり,その中にはきちんとした理論に基づくものだけでなく,経験に基づくものが混在しており,施設による差も大きいのが現状である。さらに,技術の世界は日進月歩であるため,常に注意していないと,その施設のローカルルールが,最新の医療から著しく遅れていることに気付かない場合もある。それでは,透析を担当する医師が,すべてをきちんと理解して指示を出しているのだろうか? 大学病院のような施設を除いては,通常の指示は臨床工学技士や看護師に任せてしまっていることも多いのではないだろうか。
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