特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅴ 小児の手術
117 精巣固定術で精巣が陰囊内まで下降しない
林 祐太郎
1
,
小島 祥敬
1
,
水野 健太郎
1
,
佐々木 昌一
1
Yutaro Hayashi
1
,
Yoshiyuki Kojima
1
,
Kentaro Mizuno
1
,
Shoichi Sasaki
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科腎・泌尿器科学分野
pp.312-316
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102366
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Q 鼠径部切開で精巣固定術を開始した症例。鼠径管内の比較的高位に精巣を認めた。陰囊内へ下降させようとしたところ,距離が足りず下降しない。
[1]概 説
鼠径部に触知する停留精巣に対しては,オーソドックスな鼠径部切開法により精巣鞘膜に包まれた精巣を同定し,適切な処置を行うことにより,精巣を陰囊内に収納することができるはずである1)。しかし,精巣を陰囊内に余裕をもって降ろせない症例に遭遇することもある。手術書に記載されている適切な方法・手順に則って手術が行われていない場合もあろうし,定型的な鼠径部アプローチでは解剖学的要因で下降困難な場合もある。本項では,鼠径部切開を行って鼠径管を開放したところ,鼠径管内の内鼠径輪付近で鞘膜に包まれた精巣を同定し,努力したが陰囊に届かないという場面にどう対応するかについて記述するとともに,手術開始前における非定型的な方法への術式の変更,腹腔鏡手術への方針変更についても解説する。
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