特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅳ 開腹手術
■陰茎の手術
107 包茎手術中に包皮を切りすぎてしまった
香野 日高
1
,
浅沼 宏
1
,
大家 基嗣
1
Hidaka Kono
1
,
Hiroshi Asanuma
1
,
Mototsugu Oya
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科
pp.288-290
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102355
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Q 包茎手術を開始した症例。包皮を切りすぎてしまった。勃起していない状態で,ぎりぎりの状態だ。
[1]概 説
小児の包茎は自然治癒することも多い。しかし,亀頭包皮炎の症例や,排尿時バルーニング(尿が亀頭と包皮の間に一度溜まってから排出される)を認める症例,膀胱尿管逆流症があるために包皮炎から腎盂腎炎を起こす可能性がある症例は,治療の対象となることが多い。治療は,まず保存的治療(包皮翻転指導,軟膏塗布,両者の併用)が行われるが,保存的治療無効例や,包皮輪の瘢痕化症例,嵌頓包茎,大人の真性包茎などは手術の適応となることが多い1)。
包茎の手術としては,大きく分けて背面切開術,環状切開術が挙げられる。
背面切開術は包皮を切除せず,縦に切って横に縫うだけの比較的簡単な手術である。内板を冠状溝近くまで切ることで亀頭を容易に露出することができ,手術も短時間で終わらせることができるものの,亀頭の両側面に余剰包皮が生じてしまうことより,術後の見栄えがあまりよくないというデメリットがあり,成人に対して行うことは稀である。また術後にステロイド軟膏を塗布しないと,包皮と亀頭が癒着しやすい。幼児期に手術を行えば,成長により余剰包皮が目立たなくなることもあるため,ハイリスクの患児に対して背面切開術を施行することもある。
一方,環状切開術は広く行われている手術であり,包皮を脱転後に余剰包皮を環状に切除することで,亀頭を完全に露出する。術前のデザインが的確であれば,術後の見栄えもよく,大人に対しても子供に対しても一般的に行われている治療である。
以下,包茎手術中に包皮を切りすぎてしまった場合の対処法について論述する。
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