特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅳ 開腹手術
■膀胱の手術
086 膀胱三角部上の後壁がほとんど欠損している
野村 昌良
1
Masayoshi Nomura
1
1亀田メディカルセンター・ウロギネコロジーセンター
pp.233-234
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102334
- 有料閲覧
- 文献概要
Q 婦人科より,「膀胱損傷して膀胱内のバルーンが見える」と修復依頼された症例。膀胱三角部上の後壁がほとんど欠損しており,そのまま縫合すると尿管を巻き込みそうだ。
[1]概 説
婦人科の手術おいて,膀胱損傷は比較的起こりやすい他臓器損傷である。経腹的および経腟的な婦人科手術,特に子宮摘除術の際に起こり得る。浸潤性子宮癌や子宮内膜症により膀胱と子宮の癒着がみられる場合には,膀胱損傷のリスクが増すと思われる。本症例のように膀胱三角部上の後壁がほとんど欠損していることから判断すると,経腹的なアプローチの際に行った可能性は高い。
膀胱そのものの損傷に関しては,適切な運針さえ行うことができれば比較的容易に修復される。そこで問題となるのが,運針により尿管を巻き込んでいないかということである。したがって,本症例のような比較的大きな三角部上(後壁)の損傷の修復については,尿管損傷することなく修復できるか否かがキーとなる。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.