特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅰ 尿路内視鏡手術
■経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)
010 前立腺部尿道の上皮内癌に術後のBCG注入療法を行うか
志水 清紀
1
Kiyonori Shimizu
1
1市立豊中病院泌尿器科
pp.41-42
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102255
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Q TURBTを開始した膀胱癌の症例。前立腺部尿道にのみG3,pTisの膀胱癌が認められた。術後,BCG注入療法を行うべきか。
[1]概 説
一般に,広範に存在する膀胱癌,経尿道的膀胱腫瘍切除術(transurethral resection of bladder tumor:TURBT)後の再発予防,膀胱上皮内癌(carcinoma in situ:CIS)に対し,膀胱腔内注入療法は適応とされている。特に,CISや異型度の高い難治性のG3T1においてはTURBT後のBCG膀胱腔内注入療法は標準とされ,膀胱温存をはかる標準的治療法とされている。
BCG膀胱腔内注入療法は,非再発率20~65%との報告1)もあり,高い再発予防効果を示している。しかし有効性の一方で,有害事象が多いことやニューキノロン系抗菌薬,抗結核剤,消毒剤,アスピリンやワーファリンなどとの併用により効果の減弱が起こる可能性も指摘されている。そのため,効果と安全性との比較が必要であり,他の根治的な治療を選択するタイミングを逸しないことが重要であると考える。
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