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編集後記
郡 健二郎
pp.568
発行日 2009年6月20日
Published Date 2009/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101777
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象は,自らの死期を悟ったとき,群れから離れ,死に場所を探すそうです。秋元康さん原作の映画「象の背中」を思い出しながら,今月号の特集「泌尿器科医に必要な癌緩和ケア」を拝読しました。
映画では,役所広司さん演じる藤山幸弘が,医師から余命6か月の末期癌であると宣告されます。48歳の中堅企業の部長で,妻子ある藤山は,そのとき悩みながらも延命治療ではなく,「今の幸せ」を活き抜く道を選びます。残された時間をかけて,心に残る人たちに,自分なりの別れを告げようとします。けんか別れした高校時代の親友,思いを伝えられなかった初恋の人,絶縁中であった実兄。藤山が正面から死を受け入れようとしながらも,映画の最後に「象のように1人で死を迎えられない。皆に見送られたい」と語るのです。
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