小さな工夫
消化器内視鏡用器具を用いた膀胱異物除去法
安藤 忠助
1
1大分県厚生連鶴見病院腎臓外科・泌尿器科
pp.82-83
発行日 2009年1月20日
Published Date 2009/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101642
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尿道留置カテーテル自己抜去に伴う尿道損傷や切断した断片による膀胱内異物に対する処置対応の依頼が泌尿器科医に来ることは珍しくない。しかし,添付文書通りに正しく使用した尿道留置カテーテルであっても,自己切断により膀胱内に残存したカテーテル断端のバルーン部分が拡張したままの状況が極めて稀に起こり得る。このような状況の理由は不明であるが,消化器内視鏡の器具を用いて対応できた実例を紹介する。
症例は,不穏時に尿道留置カテーテルを自己切断した73歳の心筋梗塞に対する抗凝固療法中の男性。軟性膀胱鏡にて異物除去を試みたところ,上記の稀な状況であることが判明し,そのままでは除去できない状況であった(図1)。軟性膀胱鏡用の生検鉗子,異物鉗子を用いてバルーン破裂を試みたが,不可能であった。エコーガイド下に恥骨上または会陰部から細い針でバルーンを破裂させた後に経尿道的に摘出する方法を考えたが,患者は心筋梗塞後で安静解除になったばかりで抗凝固療法中であることを考慮すると,経尿道的にバルーンを破裂させ,そのまま摘出することができれば患者の身体的な負担とリスクが少ないと考えられた。そこで,食道静脈瘤硬化療法用穿刺針(針径23G,針長4mm,適用チャネル径2mm,有効長1650mm,オリンパス社製:図2参照)を軟性膀胱鏡のワーキングチャネルより挿入し,直視下にバルーンを破裂させ,そのまま異物鉗子を用いてフォーリーカテーテル先端部を摘出することができた。特にバルーン破裂による膀胱損傷や,カテーテル砕片の発生は認めなかった。
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