特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【尿道炎】
8.尿道周囲炎と診断した患者です。保存的治療のポイントについて教えてください。また,ドレナージを必要とする場合はどんなときでしょうか。
高橋 聡
1
1札幌医科大学泌尿器科
pp.36-37
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101384
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1 診療の概要
男性の尿道炎は,比較的若い年代では性感染症として淋菌やクラミジア・トラコマティスが起炎微生物となり発症する。中高年の男性は,明らかな性感染症の感染の機会がない限りは,グラム陰性菌などによる細菌感染が原因となる。非淋菌性尿道炎の一部を除いて,尿道炎の症状としては,排尿痛,頻尿,尿道分泌物があり,検査所見としては,膿尿を認める。つまり,症状があるために,泌尿器科などを受診し,治療を受けることになる。起炎微生物の推測を誤らなければ,抗菌薬による治療で症状は改善する。したがって,例外を除いて,尿道炎が重症化するのは,尿道周囲というよりは急性精巣上体炎などへの進展である。もちろん,無症候性感染の頻度が高いクラミジア・トラコマティス感染では,尿道周囲までの炎症の波及は極めて稀と考えられる。
尿道周囲に炎症を生じるような疾患としては,陰茎海綿体膿瘍や化膿性陰茎海綿体炎が挙げられる。陰茎海綿体膿瘍は,プロステーシスなど異物の挿入1,2),外傷,薬物(注射)など原因がはっきりしているものもあるが,原因が不明とされているものが多い3~6)(表1)。発症時の年齢別では,比較的若年者では外傷やプロステーシスなど明らかな誘因があるものが多く,中高年者では原因が明らかでないものが多い3)。尿道炎の関与については明らかではない。
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