特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅱ.泌尿器科手術
E.小児の手術
【精巣固定術】
109.停留精巣の手術を施行中の患者です。通常どおり精管,脈管系に分けて精巣を延長しましたが,陰囊内に届きません。どうすれば届くようにできるでしょうか。
松本 富美
1
,
松井 太
1
,
相野谷 慶子
1
,
島田 憲次
1
1大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
pp.339-341
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101186
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触知可能な停留精巣に対する精巣固定術は,通常大きく分けて(1)精巣,精巣導帯の同定および剝離,(2)腹膜鞘状突起の剝離,ヘルニア囊の処理,(3)精巣の陰囊内への固定,の3ステップを経て行われる。外鼠径輪より遠位部に下降している精巣であれば,(2)のステップを適切に行えば精索の十分な伸展が得られ,緊張なく陰囊内に固定し得る。しかしながら,鼠径管内や鼠径管と腹腔内を行ったり来たりしているいわゆるpeeping testisなどでは,腹膜鞘状突起を精索と分け,精管と精索血管をそれぞれ可及的頭側まで剝離しても精索の伸びが不十分で,精巣が陰囊内に届かないことがある。腹膜鞘状突起の処理を行う前であれば,Fowler-Stephens法の適応も選択肢の1つであるが,腹膜鞘状突起を精索から剝がし,精管と精索血管の間の剝離をある程度進めたあとでは,側副血行路の障害が予想され,術式の変更は不可能である。
さて,このような状況に遭遇した場合,精巣を陰囊内に届くようにするにはどのような工夫が必要であろうか。本稿では,日頃経験することが多いstandard orchiopexyにおけるtension free固定術のポイントについて述べる。
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