特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅱ.泌尿器科手術
E.小児の手術
【精巣固定術】
108.停留精巣の手術を施行中の患者です。精管が切れてしまいました。どのように対処すればよいでしょうか。
松本 富美
1
,
松井 太
1
,
相野谷 慶子
1
,
島田 憲次
1
1大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
pp.336-338
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101185
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停留精巣は先天性の泌尿器科疾患のなかでも代表的なものであり,小児を専門とする施設以外でも接する機会は少なくない。精巣固定術は,本来,泌尿器科医として習得すべき基本手技の1つであるが,実際これを正しく施行できる泌尿器科医は手術を行っている医師の数ほど多くないものと予想される。精巣固定術をきちんと行うには,停留精巣の病態と解剖を熟知することが重要である。なかでも鼠径管の構造は特異的で,経験が少ないうちは手術書を読んで頭で手順を整理していても予定通り事を運ぶことは困難であり,それを体得するには正確な指導と豊富なトレーニングを必要とする。小児病院以外では症例数に恵まれないばかりか,指導する立場の医師も十分な経験を有するとはいいがたく,昨今の不幸な事故が発生する一因であると思われる。
精巣固定術の際の臓器・組織損傷で最も頻度が高く,のちに問題となるのは精管損傷と精索血管の障害である。特に精管損傷は精路の閉塞を招き,妊孕性に直接影響を与える。ここでは術中の精管損傷について述べる。
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