特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅱ.泌尿器科手術
D.開腹手術
■尿路変向術
【下部尿路再建術】
89.下部尿路再建術(代用膀胱手術)を行った患者です。術後,排尿障害が起きました。どのように対処すればよいでしょうか。
上領 頼啓
1
,
占部 裕巳
1
1済生会下関総合病院泌尿器科
pp.271-275
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101166
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下部尿路再建の方法として代用膀胱は,腹部に尿排出のためのストーマがなく,自然排尿が可能であるため術後のQOL(quality of life)が優れていることから,多くの施設で行われている。本手術のQOLの評価に大きく影響するのは術後の排尿状態の良否である。排尿障害が持続すれば逆に大きくQOLを損ない,患者は本手術を受けたことに対して果てしない後悔と大きな不満とを抱き,医師との信頼関係も失われてくる。つまり,排尿障害の軽重がその後の患者の生活環境を大きく左右し,排尿障害がなく良好に経過する症例と排尿障害の合併症に悩む症例との生活上の落差は大きい。
代用膀胱造設後に生じる排尿障害は尿失禁と排尿困難であるが,術後これら排尿障害の合併症を避けるためには,(1)排尿障害の生じない理想的な代用膀胱を作製すること,(2)術前に患者およびその家族に代用膀胱による排尿の特徴について十分に説明しておくこと,(3)手術の適応を誤らないこと,(4)本手術に習熟しておくこと,などである1)。
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