増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅱ.術式別にみた術中・術後合併症の管理
D.開腹的手術
6.尿路変向術
下部尿路再建術
上領 頼啓
1
Yoriaki Kamiryo
1
1山口県済生会下関総合病院泌尿器科
pp.168-177
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903208
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1 はじめに
代用膀胱の術後合併症の発生を予防するには,手術適応について術前のしっかりした評価が重要である。術前の評価を曖昧にすると術後合併症に悩まされることになる。手術適応としては,表1に示すように(1)と(2)に挙げた患者自身が手術術式の特徴(長所と短所)を十分に理解し,自己導尿を含めた術後の排尿自己管理を精神的,肉体的に実行できることが最も重要である。(1)〜(6)の条件を克服できないような症例は他の尿路変向術を選択し,本手術を施行すべきではない。
合併症の発生を低下せしめるもう1つの方法は理想に近い代用膀胱を作製することである。すなわち(1)内圧が低圧で,(2)形状が球形に近く,(3)骨盤の中央に位置し,(4)適度な容量を持つパウチを形成することである。その上で表2に列記した(1)〜(6)の項目を満たす代用膀胱となれば術後は高いQOLが得られる。代用膀胱の術後に生じる主な合併症を成因別に整理して表3に示した。
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