特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅰ.泌尿器科処置
【嵌頓包茎整復】
29.嵌頓包茎の患者です。発症後数日が経ち浮腫が強く,整復してもすぐに元に戻ってしまいます。どのように対処すればよいでしょうか。
浪間 孝重
1
,
星 清継
1
,
池田 義弘
1
,
大沼 徹太郎
1
1東北労災病院泌尿器科
pp.93-95
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101105
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嵌頓包茎は,包皮輪による陰茎の絞扼(絞扼リング)により包皮および亀頭が血行性あるいはリンパ行性の循環障害をきたした病態をいう。症状としては,絞扼リング末梢の包皮の高度の浮腫,亀頭のうっ血と強い疼痛(絞扼痛)を認める1)。嵌頓包茎の病因は,性行為や自慰行為のあとや経尿道的なカテーテル操作や内視鏡操作を行ったあとに,包皮を生理的状態に戻さなかった場合に起こることが多い。通常は,真性包茎例で発症しやすいが,仮性包茎例であっても高齢者などでは尿道カテーテル留置後に包皮を元に戻さないために発症することがある。留置したカテーテルによって亀頭と尿道海綿体の内径が増大し,結果的に包皮輪に対して陰茎径が増大するために絞扼が起きやすくなる。
嵌頓包茎の診断は,一度経験していれば視診により容易に行える。強い疼痛を伴うことが多いが,特に思春期の症例では羞恥心のため発症直後に医療機関を受診できないことがあり,設問のように数日を経過することも稀ではない。そうした場合,亀頭のうっ血は増大し,絞扼リング末梢の包皮は慢性炎症をきたし,びらんや瘢痕化を伴うリンパ浮腫に至ることもある。
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