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綜説
腎臓移植の成績は本当に向上したのか
Long-term graft survival of kidney transplantation
高原 史郎
1
Shiro Takahara
1
1大阪大学医学系研究科・先端移植基盤医療学
1Department of Advanced Technology for Transplantation, Graduate School of Medicine, Osaka University, Suita, Japan
キーワード:
腎移植
,
長期生着
,
予後因子
Keyword:
腎移植
,
長期生着
,
予後因子
pp.95-101
発行日 2007年2月20日
Published Date 2007/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101048
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免疫抑制療法の進歩によって腎臓移植の成績は向上し,10年生着率は80%以上,腎移植患者の社会復帰率は90%以上である。また適応も広がり,生体腎移植おけるABO血液型移植は15%以上,HLA適合度の悪い夫婦間移植も15%以上に達している。65歳以上の高齢者への腎移植も通常の移植として行われており,生体ドナー(提供者)は75歳程度まで可能である。移植後10年目までの生着率を向上させたもう1つの要因は血圧コントロール,食餌・運動療法,hyperfiltration治療,高脂血症治療,癌検診による早期診断・治療などの内科的な「非免疫学的因子」の克服である。しかし,移植後10年目以降の生着率は向上していない。HGFなどのサイトカイン投与や遺伝子治療,遺伝子情報によるテーラーメード免疫抑制療法,免疫寛容の導入と維持などの新しい概念による診断・治療が必要とされている。
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