書評
今日の疫学―第2版
坪野 吉孝
1
1東北大学大学院法学研究科
pp.943
発行日 2005年11月20日
Published Date 2005/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100421
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本書は1996年に出版された同書の初版を,23名の執筆者を迎えて大幅に改訂したものである。427ページからなる本文の約半分を占める「総論」では,疫学の概要から,因果論,研究デザイン,測定とバイアス,研究の実施,データ解析,倫理にいたる事項が取り上げられている。残りの半分を占める「各論」では,スクリーニング,感染症,がん,循環器,環境,産業疫学,社会疫学,精神保健,健康政策,さらに臨床疫学や臨床判断学にいたる多彩な分野が解説されている。
私自身は,とくに各論が面白かった。とりわけ,「循環器疾患の疫学」と「精神保健疫学」の部分は,世界と日本の研究状況が手際よく整理され,これまでの到達点と課題がみごとにまとめられている。「感染症の疫学」は,具体的なアウトブレイクの事例を用いた臨場感あふれる解説が興味深かった。「社会疫学」と「健康政策への応用」は,新しい分野として世界的に発展する姿がよく理解できた。
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