小さな工夫
乳幼児の膀胱尿管新吻合術における膀胱内開創器として創縁保護具の使用経験
坂本 亘
1
,
石井 啓一
1
,
井口 太郎
1
1大阪市立総合医療センター小児泌尿器科
pp.881
発行日 2005年10月20日
Published Date 2005/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100409
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小切開手術における切開創の開創および創縁保護具として各種の製品が開発されている。これらの製品の特徴は,素材が持つ張力によって切開創を開口させ,切開創全体に均一な力が加わるため,開創による組織の挫滅や損傷を起こしにくい利点がある。われわれは,この創縁保護具の一つであるラッププロテクターTMレギュラ-100FFタイプ(八光メディカル)を,直接膀胱内に挿入することで,良好な視野のもと,乳幼児の膀胱尿管新吻合術を行っている。この方法を紹介する。
型どおり,5cmの皮膚切開(Pfannenstiel incision)をおき,腹直筋を分けて膀胱前腔に入る。膀胱壁に3cmの縦切開をおき,創縁保護具をこの膀胱壁切開創より直接膀胱内に挿入する。つまり,創縁保護具の上リングは皮膚切開の外側で,下リングは膀胱内で開いた状態で固定された状態となる(図1)。この操作のみで膀胱内の観察,尿管口の確認,尿管内へのスプリントの挿入などが可能である。このあとの手術は,他の開創器(リングリトラクター)を併用し行っているが,創縁保護具ごと膀胱粘膜を牽引するため,膀胱粘膜の損傷は軽度である(図2)。
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