特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
8.そのほか
【血尿】
87.運動後(特に剣道のあとに多いようですが)だけに出現する血尿は治療を要するのでしょうか。高度な血尿を繰り返す患者には運動を禁止すべきでしょうか。
奴田原 紀久雄
1
1杏林大学医学部泌尿器科
pp.316-317
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100295
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1 診療の概要
1.運動後の血尿(運動性血尿:sport hema-turia)
運動後に血尿が出現することは以前より知られている。運動の種類としては,ボクシングのように体の接触があるものから,水泳やボートのように体の接触のないものまでさまざまである1,2)。実際の頻度であるが,90名に5kmのランニング負荷を行ったあとで32名(36%)に顕微鏡的血尿を認めたとの報告もあり3),顕微鏡的血尿のレベルまで含めると,かなりの数にのぼると思われる。血尿の原因としては次のものがある1,2)。
a)非外傷性の腎からの出血
安静仰臥位では腎血漿流量は約700mリットル/分であるが,運動中には骨格筋,心,肺への血液供給が増え,約200mリットル/分に減少する。そして,この減少の程度は運動の程度に比例する。実際,長時間の激しい運動を行うとクレアチニン・クリアランスが減少し,尿量も減少する。このような血流変化はネフロンに低酸素状態をもたらし,糸球体の透過性を変化させ,蛋白や赤血球を透過させるようになると考えられている。また輸出細動脈で血管収縮が生じ,糸球体濾過圧が亢進し赤血球が透過するようになるという説もある。
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