特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■神経因性膀胱障害
【蓄尿障害】
32.蓄尿障害の患者です。Autoaugmentationの適応について教えて下さい。
横山 修
1
1福井大学医学部泌尿器科
pp.119-121
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100240
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1 Autoaugmentationとは
Autoaugmentation(自家膀胱拡大術)は自己の膀胱上皮を利用した膀胱拡大術の1つであり,1989年にCartwright & Snow1,2)により最初に報告された。この方法は,膀胱体部の平滑筋層を大きく切開して膀胱上皮および上皮下組織だけを残し,口の大きな人為的膀胱憩室をつくる手術である。膀胱上皮を損傷しないように縦切開を置き(図1a),膀胱内を生理食塩水で満たして伸展させ平滑筋の剝離を側方に進め(図1b),剝離した膀胱筋層は腸腰筋に掛けて憩室口が広がるようにする方法である(図1c)。その後,autoaugmentationは平滑筋層を切開するだけでなく切除してしまう方法も考案されたが,筋層切開法,切除法の成績に差がないと報告されている3)。
本法は回腸,結腸,胃などの消化管を利用した膀胱拡大術に比べ簡便で手術時間が短く,腸管を使わないため術後の合併症も少ないという利点もある。しかし術中,広がりの悪い症例では,術後穿孔などにより拡張が不十分になってしまう可能性がある。また,術後穿孔に対してドレナージを行うと拡張した膀胱が縮小してしまう恐れもある。
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