特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■神経因性膀胱障害
【蓄尿障害】
31.頻尿を訴える患者です。蓄尿障害なのか排尿障害なのか,外来ですぐに行うことのできる鑑別法について教えて下さい。
横山 修
1
1福井大学医学部泌尿器科
pp.116-118
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100239
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1 新しい疾患概念「過活動膀胱」
頻尿の原因がどのような疾患に起因するのか,蓄尿障害なのか排尿障害なのか,われわれ泌尿器科医が外来で最初に解決しなければならない問題である。特に最近,尿意切迫感,頻尿,切迫性尿失禁などの蓄尿症状を主体とした過活動膀胱と呼ばれる病態に注目が集まり1),非常に多くの過活動膀胱症例が存在するとの疫学調査がなされている2)。日本排尿機能学会が行った調査によれば,40歳以上の男女4,470人のうち,過活動膀胱の条件を排尿回数が1日8回以上,かつ尿意切迫感が週1回以上あるものとすると,全体の12.4%であることが判明した。この割合は欧米の16.6%に匹敵するものであり,わが国では約810万人が過活動膀胱であろうと推測される。
過活動膀胱とは「尿意切迫感を有し,通常は頻尿および夜間頻尿を伴い,切迫性尿失禁が伴うこともある」という症状から定義される症候群であり,この新しい定義に基づいてより積極的な治療がなされるものと思われる。頻尿を含めた過活動膀胱の原因としては神経の障害に起因するものと,神経障害が見いだされない(非神経因性)ものがあり,後者には前立腺肥大症のような下部尿路閉塞,骨盤底の脆弱化,加齢,特発性などの原因が想定されている(表1)。前者には脳血管障害,各種の神経変性疾患,脊髄損傷などの脊髄疾患などが原因となり,これまで神経因性膀胱として包括されていた。
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