画像診断
尿管結石により腹腔内尿溢流をきたした馬蹄腎
佐野 太
1
,
木村 亮輔
1
,
北見 一夫
1
1藤沢市民病院泌尿器科
キーワード:
馬蹄腎
,
腎盂破裂
,
尿路結石
Keyword:
馬蹄腎
,
腎盂破裂
,
尿路結石
pp.335-337
発行日 2006年4月20日
Published Date 2006/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100157
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患者 67歳,女性。
主訴 右側腹部痛。
既往歴 卵巣腫瘍にて子宮・付属器摘除。
現病歴 2005年6月22日自宅にて特に誘因なく主訴が出現,当院救急外来を受診した。
現症 意識清明。血圧175/109mmHg,脈拍60/分。右側腹部叩打痛あり。腹部筋性防御あり。白血球11,400/mm3と高値であった以外は血算,生化学検査に異常を認めなかった。尿沈渣RBC 5~9/hpf,WBC 0~4/hpf,尿培養陰性。
腹部造影CT(図1a,b,c)・CT後KUB(図2) 両側腎は下極において癒合しており,馬蹄腎の所見であった。右腎前面・下極周囲および腹腔内に造影剤の溢流を認めた。右尿管口部に小さな石灰化を認め,右腎盂・尿管のみ拡張していることから(左は馬蹄腎に伴う腎盂尿管移行部狭窄)結石の嵌頓による腎盂内圧の上昇により腎盂外溢流をきたしたものと診断した。
経過 同日右尿管ステント挿入,膀胱バルーンを留置し,抗生剤投与により保存的に治療した。一過性の腸管麻痺は起こしたものの,腹膜炎には至らなかった。第4病日のCTにて溢流は吸収されていた。KUB上,結石は明らかでなく,自然排石したものと考えられた。破裂後14日目に尿管ステント抜去,その後の静脈性腎孟造影(IVP)にて尿溢流を認めず,尿管口部の通過良好であった。ほかに明らかな結石のないこと,腎機能に問題のないことなどから経過観察の方針とした。
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