Derm.2002
専門はまわりによってつくられる
立花 隆夫
1
1京都大学大学院医学研究科皮膚病態学
pp.16
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903915
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昭和56年に京都大学医学部皮膚科に入局して20年経つが,研修医として1年,医長として2年の計3年間,福井赤十字病院に出向した以外は大学病院に勤務している.最近では皮膚外科を専門として年間約350例の手術を行っているが,はたして20年前にこのような自分の姿を想像したであろうか?
まわりの人は好きで皮膚外科をやっているのだろうと思っているようだが,答えは“ノー”である.私が京都大学に入局した当時は,形成外科が皮膚科と耳鼻科から分離,独立したとはいうものの,かなり親密な関係を保っており,転科することなく,もともと皮膚科に所属していた形成外科医に依頼して入院患者の手術を行っていた.そのため,手術室では皮膚科手術のみならず他の形成外科手術を自由に見学でき,また同じ病棟でもあったため,形成外科医に直接外科手技を指導してもらうなど,形成外科の世界を皮膚科医でありながら垣間見ることができたのは確かに幸運であった.しかし,本当に皮膚外科に興味があれば,その時点で迷うことなく形成外科に転科していたであろう.
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