ホスピタルトピックス 建築・設備
ベッドまわりの設備
伊藤 誠
1
1千葉大学
pp.91-92
発行日 1965年1月1日
Published Date 1965/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202503
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看護の面から,また診療の面から入院患者のベッドまわりに求められる諸設備の重要さは今さらいうまでもない。ことに生活の場を,方数尺の間に限られる患者の側からすれば日常の生活にかかわるもろもろの設備はベッドまわり集中されることになるから,これに対してじゅうぶんな行きとどいた配慮がなされていなければならない。診療・看護上の利便と病室を落ちついた雰囲気に保ちたいとする要求とから,たとえば酸素ボンベを病室に持ちこまなくとも壁つきのアウトレットから即座に酸素がえられた方が具合がいいとなるといわゆる中央配管による建築化された設備となってくる。この種の問題については,建築家の側からもいろいろな研究や試みがが提起されてきたが,ここでは最近竣工した東邦大学医学部付属病院における例を紹介しておこう(設計:田中建築事務所)。
第1図は6床の一般病室であるが各ベッドの枕もとの壁にとりつけられた四角い板(床頭台に対応して床頭板とでも呼ばれるべきであろうか)が注目される。これは木製のパネルに,もろもろの設備を組みこんだもので,各種の要素を一体化したという意味において,建築ならびに設備の工法上も妙味のある案であるが,ことに数ベッドを容れるこのような「あいべや」において,それぞれの患者に空間的なよりどころを与えている効果も見のがせない。
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