建築と設備・95
病棟の「水まわり」考
西野 範夫
1
1田中・西野設計事務所
pp.479-483
発行日 1994年5月1日
Published Date 1994/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901237
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病棟20年間のうつろい
日本の病院も施設面でのレベルが随分上った,欧米に比べても遜色がなくなった,という話をよく聞く.しかし,大体において「病棟以外は」というただし書きがついている.とくに起債をたよりにして建設される多くの公立病院では,「基準面積」によって病床当たりの総面績が規制されており,どうしても診療部門が優先される傾向のあおりを喰って,病棟はつめられ,なかなか豊かなものにならなかった(平成5年度より病院事業債取扱要領で基準面積はなく,数値上の制限はなくなっているが,基準に準じた指導が行われている).しかし,入院患者に豊かな生活を指向する社会の需要に応じた改善が行われて来ている.図1は千葉県がんセンターの病棟階の平面図である.開院後18年を経て各部門の大改造と増築が行われた.新病棟では旧に対し以下の改善がなされた.
①多床室は4人室 ②個室率をあげる ③デールーム,食堂を設ける ④個室はすべてトイレつきとす る ⑤病室には旧も洗面器が設けら れているが,新ではさらに中央 に洗面所を設ける ⑥車椅子用便所を設ける ⑦通常の浴室以外に介助浴室を 設ける ⑧MRSA等の汚染防止のため手 洗器を要所に設ける
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