Derm.2000
樹状細胞療法/臨床研究をしていて思うこと
北嶋 敏之
1
,
秋元 幸子
2
1山梨医科大学皮膚科
2群馬大学皮膚科
pp.76
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903209
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当科では東京大学医科学研究所を中心として発足したメラノーマに対する樹状細胞療法の臨床研究プロジェクトに参加している.原理を簡単に述べると,患者さんの樹状細胞にメラノーマの腫瘍抗原をパルスしたものを投与して抗腫瘍免疫を高めようとするものである.このプロジェクトはステージIVの患者さんが対象であるが,もちろんわが国でははじめての試みである.欧米では主としてペプチドを腫瘍抗原として使用しある程度の効果をあげているが,わが国ではHLAの関係上,腫瘍細胞溶解液を抗原として用いるのが特徴である.
先日,医科研での治療の合間にこちらでIL 2を注射しに来られた患者さんを診させていただく機会があった.調子はどうかと尋ねると案外良いとのことであった.「むこうで血をとって何回か注射してもらっている」と治療の様子を話してくれた.この患者さんの腕にIL−2を注射するたびに,まだ始まったばかりでおそらく前途は長いであろうこの治療に同意していただいたことに対する感謝の念とともに,このような患者さんのためにも,幾多の困難を乗り越え,このプロジェクトを前進させていかなければならないと思った.
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