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5年に1回開催される国際研究皮膚科学会International Investigative Dermatology(IID)が,1998年5月7日から10日までの4日間ドイツのケルンで開催された.IIDはJapanese Society for Investigative Dermatology(JSID),Society for Investigative Derniatology(SID)およびEuropean Society for Dermatological Research(ESDR)の合同学会で第1回は米国ワシントン,第2回は京都においてTricontinental Meeting of the JSID,SID and ESDRとして開催され,今回からIIDとなった.より多くの学会参加者が集い,質の高い発表が集まるようにと,今回からIIDが開催される年のそれぞれのsocietyの年次大会は開催しないということである.会頭のThomas Krieg先生(ドイツ・ケルン)を中心に各societvより3人ずつで構成されたlntersociety Planning Committeeが3〜4年前からゲストレクチャー,各受賞講演およびオーラルセッション,ポスターセッションの構成比を含む学会全体の構成を考え,さらにこれとは別に各societvより3人ずっで構成されたIID'98 Joint Scientific Programine Committee(プログラム選考委員)が応募演題を評価し,演者および座長を決定したということだ.
今回の発表演題1389の内訳はPlenary Session 40演題,Concurrent Session 163演題およびPoster 1186演題であった.それぞれ発表者の所属,名前の記載されていない抄録をJSID,SID,ESDRのプログラム選考委員が選出した各分野の第一人者を審査委員とし,それぞれの先生方が分担で応募されたすべての抄録を採点した.それらをすべて集めて1月にJSID,SID,ESDRのプログラム選考委員の先生がケルンに集まって4日間かけてすべての抄録を点数化し,ランキングをつけて順にPlellary Session,Concurrent SessionおよびPoster演題を決定したと聞いている.水準の高い分野は競争率が高かったとはいっても,各国の審査員による採点に激しいばらつきはなかったとのことだ.その結果JSIDからは,Plenary Session 2題,Concurrent Session 20題およびPoster 205題,合計227演題が参加した(ハイスコアにもかかわらずポスター希望の演題が5つあった).ちなみに97年度の日本研究皮膚科学会の参加演題は228であったので日本からは例年どおりの参加者があったことになり,また昨年度ワシントンで開催されたSIDでは全演題数841のうち日本の教室からの演題(カッコ内は海外のラボからの日本人による発表数)は,plenary+concurrent oral sessionは3(10),posterは42(28),合計45(38)演題で,それと比べると今回かなり健闘したということになる.演題の選考は選考委員の主観により,つまり有名なラボの演題は通りやすく無名な研究者は割を食うものだと思っていたが,選考委員の数は平等でかつ客観的に選考されている印象を受けた.また,応募演題数は3学会分にもかかわらず,Plenary Sessionの数は40なのでかなり水準の高い発表であった.実際ポスター発表のなかにもJournal of Investigative Dermatologyの水準と思われたり,実際にacceptされているという演題も数多くみられ,質のよい発表を短期間に見ることができ,非常に得るところの多い学会であったと思う.
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