Derm.'97
Spitz母斑か,悪性黒色腫か?
涌井 史典
1
1日本大学板橋病院皮膚科
pp.163
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902196
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Spitz母斑と悪性黒色腫の鑑別は臨床的にも病理組織学的にも非常に困難なことがあり,しばしば両者の診断に苦労されたご経験がおありのことと思います.今回私たちも両者の鑑別に苦慮した症例を経験しました.
患者さんは14歳の女子で,1年半前より右足内側縁に9×9mmの表面に鱗屑を伴い,紅暈を有する黒色結節が認められたそうです.前医で全切除し,病理組織学的に色素性Spitz母斑と診断されました.この症例につきconsultationを受け,実際顕微鏡で観察してみますとSpitz母斑なのか黒色腫なのか非常に診断に迷いました.そこで当教室で色素性腫瘍の鑑別の際に行っているホルマリン固定パラフィン包埋未染色標本の螢光法的観察と同一切片にHMB-45免疫染色を施してみますと黒色腫を示唆する所見がえられ,cytofluorometryによる細胞核DNA量分析ではaneuploid patternであり,悪性腫瘍の所見にあてはまりました.これらのことからこの症例を結節型黒色腫と確認診断しました.
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