Derm.'97
顕微鏡は調節して使っていますか?
持田 耕己
1
1もちだ皮膚科クリニック
pp.15
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902161
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今回上記タイトルについて書かせていただくのは,何を隠そうわたくし自身がある時点まで正しい調節法およびその原理を知らなかったためです.そうして同じ輩が少なくないように感じたためです.それではどのように調節したらよいのでしょうか?
まず調節の目的ですが,単純に言って視たい部分にのみ光線を当てることにあります.これは水平方向のみでなく,垂直方向についてもあてはまります.さてその実際ですが,とりあえず標本にピントを合わせます.そうして両眼の視力差を接眼レンズで調節します.その後光源の絞りを絞り込みます.そうすると視野内周辺に絞りの陰が出現します.その時集光器の位置が適していないと,陰の辺縁がぼやけて見えます.そこで集光器の位置を調節します(多くの場合は昇りきった状態でOK).これで垂直方向での調節は終了です.次にこれらの陰で織りなされるスポットが視野の中央にくるように調節します.この後は絞りを徐々に開いて行き,絞りの陰がちょうど消失する所まで開き,それ以上余計な範囲に光が当たらないようにします.以上で終了です.対物レンズには個体差がありますので,厳密には上記作業を各対物レンズで視るごとに行う必要がありますが,普段の使用ではそこまでやる必要はありません.しかしながら,学会発表や投稿に用いる写真を撮る時は面倒でも施行してみてください.
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