Japanese
English
症例報告
高齢者に生じた悪性リンパ腫の1例
A case of malignant lymphoma in the elderly
大山 学
1
,
菊池 新
1
,
大畑 恵之
1
,
西川 武二
1
,
岡本 真一郎
2
,
池田 康夫
2
Manabu OHYAMA
1
,
Arata KIKUCHI
1
,
Yoshiyuki OHATA
1
,
Takeji NISHIKAWA
1
,
Shin-ichirou OKAMOTO
2
,
Yasuo IKEDA
2
1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
2慶應義塾大学医学部血液内科学教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
2Department of Hematology, Keio University School of Medicine
キーワード:
高齢者悪性リンパ腫
,
化学療法
,
QOL
Keyword:
高齢者悪性リンパ腫
,
化学療法
,
QOL
pp.149-152
発行日 1997年2月1日
Published Date 1997/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902098
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
躯幹,四肢に多発性皮膚腫瘤を呈した悪性リンパ腫76歳男性例を報告した.皮膚病理組織では真皮全層に核小体が明瞭な淡明で大型の核を持つ異型細胞の浸潤を認め,これらはB細胞の表面形質を呈していた.皮膚腫瘤部から抽出したDNAの解析では免疫グロブリンH鎖遺伝子の再構成を認めた.全身症状として発熱,盗汗があり,胸腔,腹腔内,全身の骨にも腫瘤を認めたことよりB細胞性リンパ腫stage IV bと診断.CHOP療法にて皮膚および全身の症状は消失したが,入院の長期化とともに,俳徊,抑うつなどの症状が出現し,中途にて外来通院治療とした.高齢者悪性リンパ腫の治療では,薬剤投与量およびその副作用,独特の予後決定因子,入院の長期化に伴う問題,合併症への配慮など成人のリンパ腫の治療以上に問題点が多く,治療指針は確立したものはないのが現状である.そこで,自験例を通し高齢者リンパ腫の問題点を明らかにするとともに若干の考按を加えた.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.