Japanese
English
症例報告
中心静脈栄養施行中に生じた亜鉛欠乏症の1例
A case of zinc deficiency which occurred during the intravenous hyperalimentation
安西 秀美
1
,
菊池 新
1
,
清水 宏
1
,
橋本 隆
1
,
西川 武二
1
Hidemi ANZAI
1
,
Arata KIKUCHI
1
,
Hiroshi SHIMIZU
1
,
Takashi HASHIMOTO
1
,
Takeji NISHIKAWA
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
キーワード:
亜鉛欠乏症
,
腸性肢端皮膚炎
,
中心静脈栄養
Keyword:
亜鉛欠乏症
,
腸性肢端皮膚炎
,
中心静脈栄養
pp.1001-1004
発行日 1995年11月1日
Published Date 1995/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901697
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中心静脈栄養(intravenous hyperalimentation,以下IVH)施行中に発症した獲得型亜鉛欠乏症の1例を報告した.患者は81歳,女.皮膚筋炎に伴う誤嚥傾向が強いため,亜鉛非含有基本液パレメンタール®によるIVHを開始した.週1回,微量元素製剤であるエレメンミック®1A(亜鉛3.9mg相当)を経静脈的に投与されていたが,IVH開始約6週後皮膚粘膜移行部,四肢,躯幹に紅斑,膿疱,びらんを認めた.血清亜鉛は5μ9/dlと著明な低値を示し,アルカリフォスファターゼも53IU/lと低値であった.病理組織学的には角層下に膿疱を認め,真皮浅層に好中球主体の浸潤像をびまん性に認めた.エレメンミック®1Aの連日投与により皮疹は約1週間で急速に改善した.IVH施行中,間欠的亜鉛投与を行っていても,亜鉛欠乏をきたしやすい基礎疾患や病態を有する患者には発症に対する注意が必要であると考えられた.
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