Japanese
English
症例報告
偽膜性腸炎の合併をみた汎発性強皮症の1例
A case of progressive systemic sclerosis associated with pseudomembranous colitis
野田 徳朗
1,3
,
上西 宏
2
,
五島 秀行
2
,
前田 学
3
,
森 俊二
3
Tokuro NODA
1,3
,
Hiroshi UENISHI
2
,
Hideyuki GOSHIMA
2
,
Manabu MAEDA
3
,
Shunji MORI
3
1近石病院皮膚科
2近石病院外科
3岐阜大学医学部皮膚科学教室
1Division of Dermatology, Chikaishi Hospital
2Division of Surgery, Chikaishi Hospital
3Department of Dermatology, School of Medicine, Gifu University
キーワード:
汎発性強皮症
,
偽膜性腸炎
Keyword:
汎発性強皮症
,
偽膜性腸炎
pp.879-881
発行日 1994年9月1日
Published Date 1994/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901318
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症例は62歳,女性.汎発性強皮症として1977年より岐阜大学付属病院皮膚科に通院し,低周波置針療法により経過観察されていた.1990年5月28日,突然に右中指の指尖壊死をきたしたため,近石病院に緊急入院した.6月7日,右中指断端形成術を行い,術後に1週間のピペラシリンナトリウム(ペントシリン®)点滴を行った.6月29日より腹痛,下痢が出現し,7月6日には筋性防御を認めたため,試験開腹を行ったが,わずかな腹水を認めたのみであった.7月17日,大腸ファイバーで,偽膜の形成が認められ,便培養よりClostridium difficile検出された.汎発性強皮症は消化管にも皮膚と同様の病変をきたし,消化管の各所で停滞,逆流を起こすことがある.このような病態の時に安易な抗生物質投与を行うと菌交代現象を引き起こし,まれではあるが,本例のような偽膜性腸炎を引き起こす可能性がある.
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