Japanese
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特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1994
II 皮膚疾患の病態
しわとエラスチン
Wrinkle and elastin
桜岡 浩一
1
,
多島 新吾
2
Kouichi SAKURAOKA
1
,
Shingo TAJIMA
2
1済生会横浜市南部病院皮膚科
2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Saiseikai Yokohamashi Nanbu Hospital
2Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
キーワード:
しわ
,
エラスチン
,
老化モデルラット
,
培養平滑筋細胞
Keyword:
しわ
,
エラスチン
,
老化モデルラット
,
培養平滑筋細胞
pp.69-72
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901196
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しわとエラスチンとの関連を検討するために2つの実験系を用いた.特殊老化ヘアレスラットでは老化に伴い顕著なしわ形成を認めるがこの現象は真皮内のイソデスモシン(エラスチン)含量の低下と平行していた1).このことはエラスチンの量的減少としわ形成が関連していると考えられた.培養平滑筋細胞の培地にはエラスチン分子(65kD)の他に45kDのフラグメントが認められた.このポリペプチドは培地中でエラスチン分子がすみやかに分解を受け特異的な45kDのポリペプチドに低分子化され,切断単位はN末から15kDの部分が除かれるためと考えられた.この分解物は安定であり組織中でもそのまま保持され互いに架橋を形成するか,あるいはintactなエラスチン分子と架橋を形成し,正常なエラスチン分子同士の架橋とは異なり異常なエラスチン線維を形成する可能性が考えられた.以上よりエラスチンの量的,質的異常はしわの形成と密接に関連していると考えられた.
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