Japanese
English
症例報告
非定型的臨床像を呈した上眼瞼有棘細胞癌の1例—症例報告と人工真皮移植後開放療法についての考察
A case of squamous cell carcinoma of the upper eyelid with unusual clinical presentation : A case report and consideration of open treatment using artificial dermis
佐々木 直起
1,2
,
長谷川 道子
1
,
田村 敦志
1
Naoki SASAKI
1,2
,
Michiko HASEGAWA
1
,
Atsushi TAMURA
1
1伊勢崎市民病院皮膚科
2産業医科大学皮膚科学教室
1Division of Dermatology, Isesaki Municipal Hospital, Isesaki, Japan
2Department of Dermatology, University of Occupational and Environmental Health, Kitakyushu, Japan
キーワード:
有棘細胞癌
,
眼瞼
,
人工真皮
,
開瞼障害
Keyword:
有棘細胞癌
,
眼瞼
,
人工真皮
,
開瞼障害
pp.329-334
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207247
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要約 75歳,男性.上眼瞼の角化性局面を主訴に当科を受診した.初診時,右上眼瞼内側の瞼縁付近から上眼瞼皮膚側にかけて25×14 mmの淡紅色角化性局面を認めた.生検組織像より表皮内癌や浸潤の軽微な有棘細胞癌を疑い,局所麻酔下に腫瘍を切除し,人工真皮を貼付した.切除標本組織像から有棘細胞癌と診断し,断端陰性を確認した.術後2週の外来受診時に膿性分泌を認めたため,ポリミキシンB添加マクロゴール軟膏を外用したところ1週後には小豆大にまで潰瘍面が縮小したため保存的に上皮化を図り,術後5週で上皮化が完了した.術後数か月間は創収縮による開瞼制限が強かったが,その後,徐々に改善し,手術瘢痕も目立たなくなった.人工真皮には創の収縮抑制効果が期待されているが,菲薄な真皮と遊離縁を有する眼瞼では強い創収縮により二期的植皮が困難になりやすい.人工真皮を用いる際には植皮による二期的再建以外の創閉鎖を想定しておく必要がある.
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