Japanese
English
原著
慢性骨髄炎瘻孔部に生じた有棘細胞癌—当教室で経験した有棘細胞癌82例の臨床的検討を含めて
A case of squamous cell carcinoma arising in the fistula of chronic osteomyelitis and clinical analysis on 82 cases of squamous cell carcinoma
竹内 陽一
1
,
田村 敦志
1
,
大西 一徳
1
,
石川 治
1
,
宮地 良樹
1
Youichi TAKEUCHI
1
,
Atsushi TAMURA
1
,
Kazunori OHNISHI
1
,
Osamu ISHIKAWA
1
,
Yoshiki MIYACHI
1
1群馬大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Gunma University School of Medicine
キーワード:
有棘細胞癌
,
慢性骨髄炎
,
日光角化症
Keyword:
有棘細胞癌
,
慢性骨髄炎
,
日光角化症
pp.249-252
発行日 1994年3月1日
Published Date 1994/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901140
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75歳,男性の右脛骨慢性骨髄炎の瘻孔部より発生した有棘細胞癌の1例を報告するとともに,過去11年間に当科で経験した有棘細胞癌82症例について検討した.有棘細胞癌の発生母地としては熱傷瘢痕,外傷性瘢痕,慢性放射線皮膚炎の順に多く,慢性骨髄炎を発生母地とする症例はこの1例のみであった.また癌発生までの罹病期間に関し,慢性放射線皮膚炎ではその他の発生母地に比べて比較的短期間で有棘細胞癌が発生していたことから,早期からの積極的な切除術が必要であると思われた.他方,発生母地が明らかでない症例では,ほとんどが日光露出部に生じており実際には日光角化症を発生母地としている可能性が示唆された.現状では,患者の日光角化症に対する病識は低く,今後,社会の高齢化が進むにつれ同疾患の増加が予想され,臨床医として留意する必要があると思われた.
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