Japanese
English
症例報告
臨床的に悪性黒色腫と鑑別を要した手指爪部Bowen病の1例
A case of Bowen disease of the nail unit mimicking malignant melanoma
加藤 寿香
1
,
志水 陽介
1
,
森須 祥子
1
,
三海 瞳
1
,
今井 俊輔
1
,
吉田 憲司
1
,
石河 晃
1
Hisaka KATO
1
,
Yosuke SHIMIZU
1
,
Shoko MORISU
1
,
Hitomi MIKAI
1
,
Shunsuke IMAI
1
,
Kenji YOSHIDA
1
,
Akira ISHIKO
1
1東邦大学医学部皮膚科学講座
1Department of Dermatology, School of Medicine, Toho University, Tokyo, Japan
キーワード:
Bowen病
,
爪甲色素線条
,
悪性黒色腫
Keyword:
Bowen病
,
爪甲色素線条
,
悪性黒色腫
pp.1015-1019
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206834
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要約 39歳,男性.10年前より右中指の爪甲色素線条を自覚し,3か月前より幅が拡大したため当科を受診した.初診時,右中指爪甲に色調の濃淡を伴い最大幅4mmの基部が太い黒褐色色素線条がみられ,悪性黒色腫を疑い生検を施行した.病理組織学的に爪母上皮内に異型ケラチノサイトや核分裂像がみられBowen病と診断した.表皮内にはメラニン顆粒の増加を伴っていた.異型メラノサイトはみられず,S100蛋白・Melan-Aは異型細胞では陰性のため悪性黒色腫を否定した.爪部Bowen病では黒色調を呈するとともに,何らかの爪甲変形・破壊を伴うことが多いが,色素線条のみ呈する症例は稀である.自験例では縦走する白色領域があり,Bowen病に伴う所見である可能性があると考えた.爪甲色素線条をみた場合に悪性黒色腫のみならずBowen病も鑑別に挙げ,詳細に観察し,適切に組織診断を行うことが重要である.
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