Japanese
English
症例報告
小児癌サバイバーの38歳男性に生じた基底細胞癌の1例
A case of basal cell carcinoma in a 38-year-old male who is a childhood cancer survivor
森 修一
1,2
,
勝見 達也
1,3
,
高塚 純子
1
,
竹之内 辰也
1
,
小川 淳
4
Shuichi MORI
1,2
,
Tatsuya KATSUMI
1,3
,
Sumiko TAKATSUKA
1
,
Tatsuya TAKENOUCHI
1
,
Atsushi OGAWA
4
1新潟県立がんセンター新潟病院皮膚科
2富山大学大学院医学薬学研究部皮膚科学
3新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野
4新潟県立がんセンター新潟病院小児科
1Division of Dermatology, Niigata Cancer Center Hospital, Niigata, Japan
2Department of Dermatology, Graduate School of Medicine and Pharmaceutical Science, University of Toyama, Toyama, Japan
3Department of Dermatology, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Science, Niigata, Japan
4Division of Pediatrics, Niigata Cancer Center Hospital, Niigata, Japan
キーワード:
基底細胞癌
,
小児癌
,
晩期障害
,
放射線治療
Keyword:
基底細胞癌
,
小児癌
,
晩期障害
,
放射線治療
pp.425-429
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206389
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要約 38歳,男性.2歳時に急性リンパ性白血病を発症し,多剤化学療法と頭蓋放射線照射(18Gy)で完治した.その後完全寛解状態を維持していた.数年来の左前頭部の黒色ドーム状結節を主訴に当科を受診した.生検で基底細胞癌と診断し,拡大切除を行った.若年者における基底細胞癌の発生は稀であり,小児癌の治療歴が関わっていたことが推定される.放射線照射部位に基底細胞癌が発生することは広く知られており,自験例でも頭蓋照射部位に発生したため,放射線治療が発生に関与した可能性が高い.小児癌治療の進歩による治癒症例の増加に伴い,さまざまな晩期障害への対策が求められている.海外では非黒色腫皮膚癌は小児癌サバイバーの晩期障害として最も累積リスクの高い二次悪性腫瘍とされており,本邦においても小児癌サバイバーに対する遮光指導や皮膚の自己検診などの啓発が必要と思われた.
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