Derm.2021
不惑の皮膚科診療
猿田 祐輔
1
1昭和大学医学部皮膚科学教室
pp.168
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206370
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ついに不惑を迎えた.諸先輩方から見るとまだまだひよこもいいところだが,いわゆる中間管理職の世代でもある.『日本資本主義の父』といわれ大河ドラマでも絶賛放送中の渋沢栄一は「四十,五十ははなたれ小僧」と言ったそうであるが,それにしても学生・研修医の時に想像した不惑とはずいぶん違う気もする.ふと周りを見渡してみると自分と同世代の先生方がさまざまな新しい研究に勤しみ,専門外来を立ち上げ,日夜皮膚科診療の進歩のために努力されている.翻って自分はどうだろう? 「ご専門は何ですか?」と聞かれるといつも即答できない.大学院が病理学であったため皮膚病理は好きだ.学位は皮膚リンパ腫についてであった.が,いずれも専門とするにはまだまだ修行が足りない.手術も入局前には外科と迷うほどであったはずなのに,最近は率先して若手に譲る始末.日進月歩で解明される免疫領域の疾患,次々と上市される生物学的製剤,真菌学など興味のある分野はたくさんあるがいかんせん経験が少ない.強いて言えばクセの強い患者さんからのクレーム対応などは自信を持って行えるようになったが,そんな専門外来は聞いたことがない.あれ,これはまずい,不惑なのに専門性がない.このままでは本当にただのはなたれ小僧だ.
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