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スーパーローテート研修を終え,皮膚科に入って以降,留学していた2年強を除いて,ずっと皮膚リンパ腫の患者さんの診療を続けてきました.年齢の割には,そこそこ多くの患者さんを見てきたつもりです.しかし,最近,とある患者さんに「リンパ腫になる患者には,共通の性格などありますか?」と聞かれ,「うーん」とうなってしまいました.思い起こしてみましたが,個人的には,特に傾向はないような気がします.こと細かに病気のことを何度も確認し,時には質問状を用意してくる早期菌状息肉症の患者さんもいれば,皮膚に腫瘤や潰瘍を作っているのに,毎回のように「私の病気は悪性なんですかね?」と聞いてくるような患者さんもいました.同じ言葉をしゃべっても,患者さんによって受け取り方は全く変わってしまいます.菌状息肉症の患者さんの多くは予後良好ですが,かと言って悪性疾患でないと言うと嘘になりますので,「悪性だけど進行は遅いから心配しなくていいですよ」という趣旨の説明をするわけですが,「悪性」という単語に注目する人もいれば,「心配しなくていい」に注目する人もいます.ただ,心配性の方でも,外来の度によくお話を聞き,丁寧に説明を繰り返すことで,「先生とお話をすると安心します」と仰っていただける方が多い気がします.この個々の患者さんに真摯に向き合い,診療に当たるという態度は,リンパ腫診療の師匠である菅谷誠先生(現 国際医療福祉大学皮膚科教授)が口を酸っぱくして仰っていたことになります.今後もこの姿勢を忘れずに,皮膚リンパ腫患者さんの診療を続けていきたいと思っています.まだまだ若輩者ですが,皮膚リンパ腫の患者さんでご相談がありましたら,メールでも結構ですので,ご連絡下さい.
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