Japanese
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今月の症例
歯科矯正器具の除去が著効した爪扁平苔癬の小児例
A pediatric case of nail lichen planus markedly improved by the removal of orthodontic equipment
岸部 麻里
1
,
山本 明美
1
Mari KISHIBE
1
,
Akemi ISHIDA-YAMAMOTO
1
1旭川医科大学皮膚科学講座
1Department of Dermatology, Asahikawa Medical University, Asahikawa, Japan
キーワード:
爪扁平苔癬
,
小児
,
歯科矯正器具
,
金属アレルギー
Keyword:
爪扁平苔癬
,
小児
,
歯科矯正器具
,
金属アレルギー
pp.1033-1038
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205584
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要約 11歳,女児.歯科矯正器具を装着してから両手足の爪が変形した.初診時,両手指の爪甲は粗糙かつ菲薄化し,萎縮していた.爪甲近位部と遠位部は層状に剝離し,点状凹窩を伴っていた.全身の皮膚や口腔粘膜に病変はみられなかった.爪生検による病理組織学的検討を行ったところ,爪上皮にリンパ球の浸潤と液状変性,真皮上層にリンパ球浸潤を認めた.臨床像と病理組織像から爪扁平苔癬と診断した.原因検索のため金属パッチテストを施行したところ,歯科矯正器具の成分であるクロムなどが陽性であった.矯正器具の除去により,爪変形は著明に改善した.爪に限局する扁平苔癬は稀とされている.特に小児では,爪以外の病変を伴わず,非典型的な臨床像を呈する傾向にあり,診断に苦慮する.不可逆的な爪変形を生じる前に,爪生検による早期診断,原因検索を行うべきと考える.
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