Derm.2018
今の時代に臨床医が研究するということ/研究への抱負
猪爪 隆史
1
,
長谷川 敏男
2
1山梨大学医学部皮膚科
2順天堂大学医学部皮膚科
pp.50
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205378
- 有料閲覧
- 文献概要
「患者さんが具合悪いときに研究なんかする気がしないけど,それでもやらないといけないよ」とは,私の先輩の言葉です.研究こそわが人生,と覚悟を決めている人からは,気合いが足らん,と叱られると思いますが,私もその先輩に同感です.しかもビッグデータや斬新な動物モデル実験でないと評価の高い雑誌に載りにくい昨今の状況は,そうした気持ちに拍車をかけます.
しかし一方で,乾癬,悪性黒色腫を筆頭に,アトピー,膠原病に至るまで,基礎研究に基づいた新規治療がぞくぞくと登場している現在は,自分の研究と臨床の結びつきを強く感じられる時代です.ゴールが見えない時代にも懸命に研究されてきた先輩方と比べると,それだけでも幸せなことかもしれないと感じています.日常診療を通して「それでもやるべき価値がある」と心から思える研究テーマを見つけることが重要だと思っています.大規模なデータを集め,眺めていろいろ考えるのも良いですが,興味深い症例を徹底的に解析することから次のブレークスルーが生まれる可能性だってあると思って,今日もベンチに向かいます.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.