Derm.2017
乾癬皮疹の重症度評価
森実 真
1
1岡山大学病院皮膚科
pp.136
発行日 2017年4月10日
Published Date 2017/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205088
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乾癬の皮膚病変の重症度評価にはPsoriasis Area and Severity Index(PASI)が世界的に用いられています.ところがこのスコアリングは評価者間の誤差が案外小さくないように思われます.以前,当科の症例カンファレンスでも,A先生「(ある患者さんの臨床写真がスクリーンに出てきて)バイオ使用の希望があり,当科を紹介受診されました.診察時のPASIスコアは20点で…」,B先生「ええっ.そんなに(高く)ないやろー」,一同「ザワザワ…」,といった場面がありました.スコアリング自体は慣れたらそこまで時間はかかりませんし,共通のトレーニングを受けることで誤差は小さくなるかもしれません.しかしながら,もし評価者間の誤差が出ない,指先の血糖値のように簡単かつ瞬時に測定できて,アトピー性皮膚炎のTARCのように特異的であり,全世界で共有できる乾癬のバイオマーカーがあればどんなに日々の診療と研究用の記録が楽になるだろう,とつい考えてしまいます.
皮膚のTh1 & Th17炎症を鋭敏に反映する特異的な分子は血中に存在しないのでしょうか.文献を検索すると乾癬のバイオマーカーは多数報告されていますが,現時点で広く臨床応用されている特異的なマーカーはないようです.今後研究が進み,臨床応用可能な画期的なバイオマーカーが登場し,さらにその簡易測定方法が開発されることを期待しています.
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