Derm.2017
乾癬診療とコストパフォーマンス
古賀 文二
1
1福岡大学医学部皮膚科
pp.137
発行日 2017年4月10日
Published Date 2017/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205089
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以前,クリニックに勤務していたことがある.乾癬患者も多く来院し,紫外線療法,免疫抑制剤の内服なども行っていた.病院勤務と違い自分で保険点数をcheckしなければならなかったため,初再診料,1つ1つの手技にどれだけコストがかかるかを学べた.あまり高額になると時々,患者さんから不満の声を聞かされた.同じ日に皮膚科特定疾患指導管理料を算定し,シクロスポリンやビタミンD3軟膏を多く処方し,採血を行ったときなどである.このような患者さんに,何も言わず診療を続けていると,やがて受診されなくなる.そのため診療費の内訳や,今の治療選択肢が最高のものであること(当時は,まだ生物学的製剤が承認されていなかった)などを時々に説明し取り繕っていた.医療は一般的なサービス業とは異なるが,それでも患者満足度を考える上でコストパフォーマンスは1つの大きな要素であり,自分の受けている治療が質の高い治療であると理解してもらうことでコストパフォーマンスが向上するのだと信じていた.
さて大学に戻ってきて,しばらくすると重症乾癬患者を中心に既存治療より高価な生物学的製剤を処方する機会が増えた.そのため経済的理由で選択されない(できない)こともあったが,導入後に「コスパが悪い(値段の割に効果が低い)」と言って不満を漏らされた方は1人もいなかった.逆に「高いけど導入してもらって本当に良かった」と,圧倒的な高い効果に感謝されることが多い.導入後に経済的理由で中止を希望する方もいたが,ほとんどが「本当は続けたいのだが…」と言われる.
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