ミノサイクリンが奏効した急性痘瘡状苔癬状粃糠疹の1例

A pediatric case of pityriasis lichenoides et varioliformis acuta successfully treated by oral minocyclin therapy

要約　5歳，男児．初診の5か月前より，瘙痒を伴わない角化性紅色丘疹が出現し全身に拡大した．前医にて滴状乾癬の疑いでステロイドおよびビタミンD₃軟膏外用に加え，シクロスポリンを投与されるも改善せず当院を受診した．初診時，顔面を含む全身に角化性紅色小丘疹と，淡い紅斑および色素沈着を多数認めた．全身状態は良好であった．皮膚生検病理組織像にて急性痘瘡状苔癬状粃糠疹と診断し，ミノサイクリン塩酸塩の内服およびタクロリムス軟膏外用開始後約1か月の経過で症状は著明に改善した．本症は数週〜数か月で自然治癒が期待される疾患であるが，臨床経過から考え，ミノサイクリンが奏効したと考えた．ミノサイクリンは抗菌作用以外に抗炎症効果を持つことで知られているが，8歳未満での内服は原則禁忌とされており，投与する場合は説明と同意はもちろん短期にとどめるべきである．