Japanese
English
症例報告
ハチ刺症による横紋筋融解症の1例
A case of rhabdomyolysis due to bee sting
原本 理恵
1
,
渋谷 倫太郎
1
,
井形 華絵
1
,
大谷 稔男
1
Rie HARAMOTO
1
,
Rintaro SHIBUYA
1
,
Kae IGATA
1
,
Toshio OHTANI
1
1倉敷中央病院皮膚科
1Division of Dermatology, Kurashiki Central Hospital, Kurashiki, Japan
キーワード:
ハチ刺症
,
ハチ毒
,
横紋筋融解症
,
ミオグロブリン
,
CK
Keyword:
ハチ刺症
,
ハチ毒
,
横紋筋融解症
,
ミオグロブリン
,
CK
pp.140-144
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204305
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要約 83歳,女性.自宅の庭で左中指をハチに刺され,出血と疼痛を生じた.近医で消毒処置を受け,非ステロイド抗炎症薬の内服薬を処方されたが,翌日,左上肢の腫脹が顕著になり再診した.血液検査でCKが14,423U/lと高値だったため,当院救急外来を紹介受診し,同日,当科入院となった.入院翌日のCKは25,048U/lに上昇,ミオグロブリンも血中が9,920.0ng/ml,尿中が56,000ng/mlと高値を示し,横紋筋融解症と診断した.輸液と炭酸水素ナトリウム120mEq/日の投与で検査値は正常化し,左上肢の症状も消失した.Crは入院時を通して正常だった.ハチ刺症による横紋筋融解症はまれで,特に1か所の刺傷で生じた報告は少ない.しかし,ハチ毒が直接血管内に注入されたときは発症しうると考えられた.ハチ刺症による横紋筋融解症は,血液透析を必要とした例や死に至った例も少なくない.入院後早期に転帰を予測するのは必ずしも容易でないが,CK値は参考になると思われた.ハチ刺症の合併症としての横紋筋融解症を認識し,本症が疑われたら重症度を把握し,速やかに治療を開始することが必要である.
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