Japanese
English
原著
色素性扁平苔癬(Lichen Planus Pigmentosus)の2例
Two Cases of Lichen Planus Pigmentosus
海老原 全
1
,
清水 宏
1
,
仲 弥
1
,
原田 敬之
1
,
西川 武二
1
Tamotsu EBIHARA
1
,
Hiroshi SHIMIZU
1
,
Wataru NAKA
1
,
Takashi HARADA
1
,
Takeji NISHIKAWA
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
pp.265-271
発行日 1988年3月1日
Published Date 1988/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203859
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61歳女子および44歳女子に認められた色素性扁平苔癬(lichen planus pigmen—tosus)の2例を報告した.両者とも臨床的には色素斑を主体としていたことから,扁平苔癬とは診断し難く,組織学的検討を行い,初めて扁平苔癬と診断し得た.電顕的には,下層表皮細胞において,細胞内浮腫,ミトコンドリアの空胞化,細胞膜不明瞭化,中等度電子密度変性物質,マクロファージの浸潤,コロイド小体など通常の扁平苔癬にみられるのと同様の像が認められた.色素性扁平苔癬は扁平苔癬のうち色素沈着を主体とする亜型であり,その発生機序としては,軽度の苔癬様組織反応が長期に亘り繰り返し生ずることにより,表皮あるいは角質肥厚といった像は呈さず,むしろ基底細胞,メラノサイトに対する障害が主に生じ,組織学的色素失調が高度となることから,臨床的に紅色調よりむしろ色素沈着が主体となることが推論された.
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